その歯痛、抜く前に相談を。口腔顔面痛の真実と専門医による精密診断
東京国際歯科 六本木 院長の宮下裕志です。
私たちは日々の診療において、エグゼクティブや多忙なプロフェッショナルの方々の「健康という名の資産」を守ることに全力を注いでおります。当院が最も重視しているのは、単なる処置ではなく、北欧スウェーデン・イエテボリ大学で培った世界基準の「精密な診断」です。
「検査では異常がないと言われたのに、歯が痛む」「治療を繰り返しても違和感が消えない」。
もしあなたが、こうした「正体不明の苦痛」に貴重な時間とエネルギーを奪われているとしたら、その原因は「歯」そのものではないかもしれません。
今回は、知的な皆様こそが知っておくべき、「口腔顔面痛(こうくうがんめんつう)」の意外な真実と、不必要な介入を避けるためのリスクマネジメントについて解説します。
その「歯痛」に、真の解決策を。一流が知っておくべき「見えない苦痛」のリスクマネジメント
1. 牙を剥く「三大激痛」:その神経科学的背景
医学的に、歯の痛みは「尿管結石」「出産」と並び、人類が経験する最高レベルの激痛の一つに数えられます。
この痛みの正体は、歯髄に密集する「Aδ(デルタ)線維」と「C線維」という二種類の神経です。鋭い刺すような痛みと、重く引きずるような痛みが混ざり合い、脳の情動を司る領域をダイレクトに刺激します。
痛みの数値化指標1から10(NRS)で「9」近くに達するこの激痛は、冷静な判断を狂わせます。その結果、原因が特定できないまま「いっそこの歯を抜いてくれ」という、取り返しのつかない(不可逆的な)決断を招いてしまうことが、現代歯科医療の大きな懸念点となっています。
2. 「幽霊」を追う歯科医療:非歯原性歯痛の罠
歯科を受診される方の約5%に、歯に異常がないのに痛みが出る「非歯原性歯痛」が認められます。これは、原因(ソース)と痛みを感じる場所(サイト)が乖離している、いわば脳の認識エラーです。
多くの歯科医院では「歯」というサイト(場所)のみを注視しがちですが、当院では「なぜ、そこが痛むのか」というソース(原因)の特定に時間をかけます。この診断のプロセスを欠くと、健康な歯の神経を抜いたり、抜歯したりといった、二度と元に戻せない損失を招く「誤診の連鎖」に陥るリスクがあるのです。
3. 筋・筋膜痛:顔の「コリ」が招くフェイクの痛み
非歯原性歯痛のなかで最も頻度が高いのは、咬む筋肉(咬筋や側頭筋)の疲労やコリによる「関連痛」です。肩こりが頭痛を引き起こすのと同様に、顎の筋肉の「トリガーポイント」が歯に痛みとして投影されます。
【エグゼクティブのための5秒セルフチェック】
- 頬のこぶし(咬筋)やこめかみを、指先で1kg程度の圧で押します。
- そのまま5秒間押し続け、「いつもの歯の痛み」が再現されるか確認してください。 もし歯に響く感覚があれば、あなたの歯痛の原因は「歯」ではなく「筋肉の過緊張」にあります。
4. TCH(歯列接触癖):成功の裏に潜むリスク
「8020(ハチマルニイマル)運動」の成功により、現代人は多くの歯を残せるようになりました。しかし、その弊害として、ストレス下での「歯の使いすぎ」が深刻化しています。
本来、上下の歯が触れ合っている時間は1日のうち合計17分程度(食事・会話時のみ)です。しかし、集中時やストレス時に無意識に歯を接触させ続ける「TCH」は、歯の支持組織を疲弊させ、原因不明の違和感を引き起こします。
一流のパフォーマンスを維持するためには、「意図的に力を抜く(リラクゼーション)」という口腔ケアの戦略が不可欠です。
5. 命を脅かすサイン:歯痛の裏に隠された疾患
「歯の痛み」が、重大な全身疾患の唯一のアラートである場合があります。
- 狭心症・心筋梗塞: 顎や左側の奥歯に激痛が放散することがあります。
- 上顎洞がん: 初期症状として上奥歯の痛みを訴える割合は約36%に上ります。
- 群発頭痛: 「自殺頭痛」とも呼ばれるこの疾患の患者の16%が、誤診による不要な抜歯を経験しているという衝撃的なデータがあります。
6. 「舌の火傷感」:口腔灼熱痛症候群(BMS)
粘膜に異常がないのに「舌がヒリヒリと燃えるように痛む」BMS。これは「痛覚変調性疼痛」と呼ばれ、中枢神経の信号処理が変わってしまうことで起こります。当院では、これを精神的な問題と片付けるのではなく、神経生理学的な観点からアプローチし、適切なマネジメントを行います。
結論:解決の鍵は「構造化された診断」にあり
口腔顔面痛は、歯科という枠組みを超えた「複雑なパズル」です。当院では、このパズルを解くために、12項目にわたる「構造化問診」を導入しています。痛みの部位、質、時間、増悪因子などを緻密にプロファイリングすることで、原因を絞り込みます。
また、必要に応じて脳神経外科や内科等と連携する「集学的アプローチ」を採用しています。
「歯に異常がない」と言われたら、それは治療の終わりではなく、真の健康を取り戻すための新しいフェーズの始まりです。
あなたの貴重な歯を一本も失わせないために。そして、痛みのない洗練された日常を取り戻すために。
スウェーデン・イエテボリ大学で培った「診断の力」をもって、私たちがその扉を開きます。
参考文献
大野由香 小長谷光 歯科医師が語る口腔顔面痛診療 日本ペインクリニック学会誌 Vol.33 No.3 43-50, 2026
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*監修者
東京国際歯科 六本木 院長 宮下 裕志






