はじめに

  • 歯の根の治療(根管治療)では、レントゲン画像がすごく大事です。
  • でも、ふつうの2Dレントゲンは平面の写真なので、重なって見えたり、見えにくい病気を見逃すことがあります。
  • そこで役立つのがCBCT(コーンビームCT)。小さなエリアを立体(3D)で撮れる歯科用のCTです。最新の専門家ガイドラインでは、CBCTの正しい使い方や考え方がアップデートされました。

Point 1:鉛エプロンはもう常に必要?放射線の考え方がアップデート

  • 以前は「とにかく被ばくを最小に」が基本(ALARA)でした。
  • 今は「診断に必要な画質を確保しつつ、患者さんごとに最適化する」(ALADAIP)という考え方が主流です。
  • つまり「誰にでも毎回、同じ防護具や同じ設定」ではなく、「その人・その目的に合う撮り方」を選ぶのが大切、ということ。
  • 地域のルールや法律は必ず守る前提ですが、「鉛エプロン必須」という昔の決まりのままではない、というのが最新の流れです。

Point 2:2Dだけだと見逃すことがある。CBCTで診断が大きく変わる

  • 3DのCBCTは、2Dより病気を見つけやすく、正しい診断にたどり着く確率も高くなります。
  • たとえば「侵襲性頸部吸収」や「垂直歯根破折」などは2Dだと分かりにくい代表例。CBCTを追加すると、治療計画が見直されるケースが多くあります。
  • ポイントは「きれいな3D写真が欲しいから撮る」のではなく、「診断や治療方針が本当に良くなるから使う」という発想です。

Point 3:撮影範囲は“必要なところだけ”がベスト(Limited FOV)

  • FOV(撮影範囲)が大きいと被ばくが増え、画像の質も散乱線で落ちやすくなります。
  • 必要な歯の周辺に絞る「Limited FOV(小さめの範囲)」だと、被ばくを減らしつつ、細かいところまで見やすい画像になりやすいです。
  • さらに、画素の細かさ(ボクセル)を小さくすると細部は見えやすくなりますが、線量が上がることも。目的に合わせて“ちょうどよい設定”を選ぶのがコツです。

Point 4:金属やガッタパーチャが作る「ニセの影」に注意

  • かぶせ物や詰め物(金属)、根の中の材料(ガッタパーチャ)などがあると、CBCTに黒い帯やギラッとした線(アーチファクト)が出やすいです。
  • アーチファクトを減らす機能(MAR)は金属には有効ですが、ガッタパーチャには効果が弱いことがあります。
  • 実践テクニック:撮りたい場所(ROI)を、狭いFOVの“まん中”かつ“少し前寄り”に置くと、読みやすくなることがあります。読み取るときはスライスを少しずつ動かして確認するのもコツです。

Point 5:AIやARで、治療はもっと正確に

  • AIは、根の先の病変やヒビ、特殊な根の形(例:MB2、C型根管)を見つけるサポートができます。
  • AR(拡張現実)やナビゲーション、ロボット支援などと組み合わせると、取り残した器具の除去や、精密な外科処置のサポートにも役立ちます。
  • 目的は「歯をなるべく削らない・壊さないで治す」ための精密さアップ。難症例でも、残せる可能性が広がります。

まとめ:強い武器ほど、使いどころを見極める

  • CBCTはとても役立ちますが、「症状がないのに念のため毎回撮る」ことは勧められていません。
  • 術後の経過観察や治り具合のチェックは、まずは2Dレントゲンが基本。2Dで足りないときに、リスクとメリットを比べてCBCTを使います。
  • これからは、AIやARの助けも借りながら、「誰に・いつ・どの設定でCBCTを使うか」を科学的根拠にもとづいて判断する時代です。

 

Reference

Melo, S. L. S., Fayad, M. I., Gohel, A., Johnson, B. R., Kalathingal, S., Mahdian, M., … & Makins, S. R. (2026). AAE and AAOMR joint position statement: use of cone-beam computed tomography in endodontics 2025 update. Oral surgery, oral medicine, oral pathology and oral radiology, 141(1), 126-135.

 

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(東京国際歯科 六本木の情報)

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*監修者

東京国際歯科 六本木 院長 宮下 裕志

医療法人社団EPSDC