【衝撃の歯の話】ケガのあとに歯が静かに溶ける?「侵襲性歯頸部吸収(ICR)」の意外な5つの事実
導入(Introduction)
「痛くないのに、歯が知らないうちに削れていく」——そんな怖い病気があるのを知っていますか?その名前は「侵襲性(炎症性)歯頸部吸収(ICR)」です。歯ぐきの近く(歯の根元あたり)から外側にできた穴が、少しずつ大きくなって歯を弱くしていきます。初めのうちは痛みがないことが多く、ふつうのレントゲンでは見つけにくいのがやっかいな点です。
この記事では、研究でわかったICRの「意外な5つの事実」を、やさしく説明します。
- 痛くないのに進むことがある
- ふつう、むし歯は神経(歯の中心の大事な部分)に近づくと痛みます。
- でもICRは、神経のまわりに「守りの層」が残ることがあるため、神経は生きたまま、外側の歯だけが静かに削られていきます。
- そのせいで「痛くない=大丈夫」と思いこみ、発見が遅れることがあります。ある研究では、ICRの歯のうち約7割が、神経の反応は正常なのに病気が進んでいました。
- 歯のケガと矯正治療が重なるとリスクが上がる
- スポーツや転倒で歯をぶつけた経験(外傷)がある人は、ICRが見つかる割合がやや高めです(約8.5〜33%)。
- ただし「ケガだけ」で必ずICRになるわけではありません。
- 矯正治療(歯列矯正)や、神経を抜いた歯の漂白(ホワイトニングの一種)などが組み合わさると、ICRが起きやすくなることがあります。
- 例)小さいころに歯を強くぶつけ、その後に矯正をした人は、注意が必要です。
- ケガや矯正の経験があると、重症になりやすい
- もしICRが始まってしまうと、過去のケガや矯正の経験がある歯は、病変が大きく広がりやすいことが分かっています。
- つまり、「原因はひとつじゃない」ことが多く、重なり合って悪くなるイメージです。だから過去の出来事も歯医者さんに伝えるのが大切です。
- ふつうのレントゲンだけでは見逃しやすい。3Dの検査(CBCT)が役立つ
- 平らな写真(2Dレントゲン)だけだと、ICRの「広がり」や「深さ」を正しくつかみにくいです。
- そのため、ICRは見つけにくく、まちがって別の病気だと判断されることも少なくありません。
- 立体的に見る3Dの検査(CBCT:歯科用の小さなCT)を使うと、ICRの位置や広がりを詳しく確認できます。早めの発見と治療計画にとても役立ちます。
- 「ケガがICRの直接の原因」とは、まだ言い切れない
- 歯のケガがICRを起こす「可能性」はありますが、「ケガがあれば必ずICRになる」とまでは言えません。
- 研究では、ケガの経験がある人にICRが多いという「関係」は見つかっています。でも、原因だと断定するには、まだ十分なデータが足りないのです。
- 大事なのは、「可能性があるから気をつける」こと。過去のケガや矯正の経験がある人は、定期的にチェックしてもらいましょう。
結論:いま痛くなくても、過去にケガや矯正をしていたら要チェック
- 痛みがなく、見た目が健康そうでも、ICRは静かに進むことがあります。
- 過去に「歯をぶつけた」「矯正をした」「神経を抜いて漂白した」などの経験がある人は、ときどき歯医者さんでチェックしてもらいましょう。
- 気になるところがあれば、3Dの検査(CBCT)が必要かどうか、歯医者さんに相談してみてください。
あなたへの問いかけ
- スポーツや転倒で歯をぶつけたことはありますか?
- 矯正治療を受けたことはありますか?
- 痛みがなくても、一度かかりつけの歯医者さんに相談して、お口の「かくれた異変」をチェックしてもらいましょう。
Reference
Lima+2026 Traumatic Dental Injuries as a Potential Predisposing Factor for Invasive Cervical Resorption: A Systematic Review
Dental Traumatology, 2026; 0:1–15
https://youtube.com/shorts/fepJ1StQfUU
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*監修者
東京国際歯科 六本木 院長 宮下 裕志






